“薄暮のさんまち、朴葉味噌を焼く”――岐阜県 飛騨・高山を歩く

●飛騨の国の民俗に浸る――郷土料理「大喜」と「飛騨の里」 
 2005年7月17日〜18日、高山の民宿泊まりの旅行をおこなった。18日は乗鞍岳に登ったが、その詳細は「長野県」のページに記している。長野の旅
 大阪・吹田インターより名神、東海北陸自動車道に。途中、美濃SAで「飛騨牛コロッケ」・ひるがの高原SAで「ソフトクリーム」をGET。ここのソフトは味が濃厚で非常に美味(300円)。ロケーションも白山が目の前にある広々とした高原の景色の中にあり、なかなかのお値打ち。
 やがて日本最高所の高速道路の表示を過ぎ、東海北陸自動車道の終点・清見ICを出るがすぐに中部縦貫自動車道に入り高山西までつながっている。その先は工事中。なお、吹田−清見間の高速代は5000円(軽自動車)也。
 高山西から一般道に入って高山市内に向かうが、市街地前で渋滞が始まる。ここは例年の渋滞発生地らしい。前方に金ぴか屋根の巨大な建造物が嫌でも入ってくる。横を通るとそれが某宗教団体の総本山であることがわかった。    
 市街地に入る直前で、「飛騨の里」の標識を目印に右手(南)に曲がり、郷土料理の店「大喜」に入り「山菜定食」(1100円)を昼食とした。この店は古民家を移築したもので、真夏の昼にもかかわらず冷房はなく、窓を開け放って扇風機だけで充分涼しい。民家の構造の威力を知る。
古民家を移築した郷土料理の店「大喜」 池と合掌造り(飛騨の里) アジサイ(飛騨の里)

薪(飛騨の里) 合掌造りの縁側で竹細工の実演 風と戯れる木の風鈴(飛騨の里)

●飛騨の匠、高山屋台と祭りの息吹

 飛騨の里を出て高山駅方面に向かい、跨線橋を越えて民宿「岩田館」に到着。チェックインの後、歩いて高山屋台会館に向かう。屋台とは、関西でいうダンジリのことで、祭のメインをなすもの。本来丁目ごとの倉庫に保管されているものを、一定期間の入れ替えによってこの屋台会館で展示している。
 この文化財保護のため、館内はフラッシュ禁止。そのため写真がないが、からくり人形を備えた屋台は、テクノロジーという側面ではおそらく日本の祭の中で最高傑作ではないか。館内で上映されているビデオの画面で見ると、からくり人形が屋台の上で棒にぶら下がって先端まで渡り、後から「唐子」(子供の人形)が渡っていって肩に乗る。ひもによる操り人形でありながら、ウンテイの要領で棒を伝わっていく離れ業で移動し、実に不思議な構造であった。
 
高山屋台会館 屋台会館のある桜山八幡宮 八幡宮前の街並み(一位一刀彫の看板が見える)

       


●人力車行き交う、薄暮の上三之町(さんまち)

 屋台会館の後、高山の古い街並みとして有名な上三之町を歩いた。メイン通りの印象は、ずばり「観光スポット」。古い建て屋は軒並み土産物屋で、さながらテーマパーク。人力車が二人乗りで行き交っている。
 とはいえ、街の雰囲気を損なわないようかなりの配慮が徹底していることには敬服する。よく、こうした旧市街の観光地で色鮮やか過ぎる自販機が風景を台無しにしていることがあるが、ここでは、商品サンプルと料金投入口・商品取出口だけが空いた木製の囲いで自販機をすっぽり覆い、雰囲気を保つよう工夫してある。
 メイン通りから筋違いの道を行くと、人通りも静かで本物の古い建物が残っている。散歩するにはこのほうがいい。
 民宿に戻り夕食は、結構満足した。鮎の塩焼き、飛騨牛の陶板焼など。ビールの二本目を追加したら、一気に酔いがまわってフラフラになった。あるいは、この地が高所であることが関係したのか。民宿ながら内風呂は温泉、露天風呂も併設(こちらは温泉ではなく水道水)、この宿の食事と風呂は花マルだった。夜更けに高山ラーメンでも食べに出てみようかと考えていたが酔いと疲れで朝まで熟睡した。
 朝食には、飛騨地方の有名な郷土料理「朴葉みそ」が付く。香りが立ち味わいあるが、関西在住の私の口にはやや塩からい。ご飯やサラダの野菜に味噌をつけながら食べた。
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上三之町(正確には観光スポットの近くの静かな通り) 元祖「鬼ころし」蔵元 お世話になった民宿「岩田館」